クラシック音楽がもっと好きになる音楽本【タイプの異なる3冊】あなたなら、どの本を選びますか?
みなさま、クラシック音楽は好きですか?
なんとなく、堅苦しいイメージがあって敷居が高そう…
と、思われている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、
読めばきっとクラシック音楽が身近に感じられる、とっておきの「音楽本」を3冊ご紹介いたします。
などなど、「音楽関連本」の中から、
あえてタイプの違う3冊の本を選んでみました。
みなさまは、どの本が気になりますか?
(*'▽')
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【1冊目】「音楽家の食卓」野田 浩資 著
クラシック音楽の作曲家は、
いったいどんなふうに暮らし、どんなお料理を好んで食べていたのでしょうか?
まず1冊目は、
「音楽」も「美味しいものを食べる事」も大好きな私にとって、とても興味深いお気に入りの本からご紹介いたします。
ふらりと入った書店で偶然見つけ、食いしん坊な私は迷わず手に取りました。
(^▽^;)
出版社 : 誠文堂新光社 (2020/1/10)
発売日 : 2020/1/10
単行本 : 255ページ
著者は、
クラシック音楽を愛する「ドイツ料理のレストラン」のシェフ野田浩資氏。
この本は、
クラシック音楽の作曲家の生まれ育った街のこと、そして彼らが好きだった食べ物についても書かれた、盛りだくさんの楽しい構成になっています。
作曲家にちなんだ「レシピ」が、たくさん書かれています。
作曲家の「生まれ育った土地」や「作品」に思いを馳せながら、彼らが好んだお料理をさっそくあれこれ作ってみたいなぁ、と思いました。(*'▽')
この本は、
18~19世紀に活躍した、「11人のクラシックの作曲家」について書かれています。
どの章もはじめに、
それぞれの音楽家たちの短くまとめられた
- 「生い立ち」
- 「エピソード」
- 「旅の足跡」
などが書かれています。
そしてさらに、
- 「郷土料理」
- 「彼らの好きだったお料理のレシピ」
も載っています。
以下、何人か作曲家ごとにレシピの例をあげてみると…
若かりし頃、お金がなかったバッハがハンブルクで食べた「ニシンの塩漬け」にちなんだ、
「ニシンのマリネ(Gebeizter Hering )」
ドイツの家庭でよく作られる、
「アプリコットのケーキ(Aprikosenkuchen)」
など、デザートのレシピも載っていて、うれしいですね ♡
♪ モーツァルト
演奏旅行で、プラハやイタリアなど外国へ行った時にも特別に作ってもらっていた、大好きなスープ
「レバー団子入りコンソメスープ(Leberknödelsuppe)」
ふだんから大好きで、人生最後にも味わったと言われている
「きのこソースの豚肉の薄切りソテー(Schweineschnitzel mit Pilzen)」
♪ シューマン
シューマンが子供の頃に近くの森で採ってきたきのこを使って、お母さんが作ってくれた故郷の味
「ザクセン風きのこスープ(Sächsische Pilzsuppe)」
デュッセルドルフにいた頃、何度も食べていた郷土料理
「ライン風牛肉のロール巻き(Rinderroulade)」
♪ ブラームス
ブラームスのお母さんがよく作ってくれた、大好きなお菓子
「Salzburgernockerl ザルツブルク風スフレ」
そのほか、
- ハイドン(Tafelspiz 牛肉のスープ煮、ほか)
- ベートーヴェン(Kartoffelkuchen じゃがいものタルト、ほか)
- シューベルト(Apfelstrudel アプフェルシュトゥルーデル、ほか)
- リスト(Ungarische Krautwickel ハンガリー風ロールキャベツ、ほか)
など、
たくさんの偉大な音楽家たちのエピソードやレシピが満載です ♪
さらに巻末には、
「音楽家ゆかりの町のレストラン&カフェガイド」もついていて、
旅行などで訪れた時に立ち寄ってみたくなりますね。
(Amazonの商品紹介ページを引用させていただきました)
著者について
野田 浩資(ノダ ヒロシ)
1947年東京都品川生まれ。
73年、六本木のチェコスロバキア料理の『キャッスルプラハ』に勤務。
その後ドイツへ渡り、シュタイゲンベルガー・ホテル『フランクフルターホフ』『シュタイゲンベルガー・パークホテル』にて修業。
その後、ベルギー、モナコ、スイスと各国を渡り修業。
帰国後、レストランを開業した後、赤坂のOAGハウス・ドイツ文化会館に『OAGクラブレストラン・クライゼル』出店を経て、『ツム・アインホルン』を開店。
日本でもっともドイツの味を感じさせてくれるドイツ料理シェフとして知られている。
著書に『野田シェフのドイツ料理』『新・ドイツの森の料理人』『ビールの国の贈り物』『ワイン街道 美食の旅』『ドイツ修道院のハーブ料理』。
趣味は、クラシック音楽鑑賞。
【2冊目】「ピアニストの脳を科学する 超絶技巧のメカニズム」古谷 晋一 著
出版社 : 春秋社; 四六版 (2012/1/23)
発売日 : 2012/1/23
単行本(ソフトカバー) : 276ページ
著者の、古谷晋一氏は、
「科学という道具を使ってピアニストをはじめとする音楽家が、思い描いた音楽を健やかに演奏するために貢献する」ことを目指す「音楽演奏科学」が専門の科学者。
ピアニストを夢見ながらも、過度な練習によって手を痛めてしまった著者が、工学、医学の道に進んだ後、自身の経験を生かしながら、
- 練習することによって、弾けなかった箇所が弾けるようになると、脳や身体はどう変わるのか?
- 「脱力」とは、どの筋肉を、いつ緩めることなのか?
- 指や腕、肩をどう動かせば狙った演奏効果が音に表れるのか?
などについて、
科学的な観点から探った「演奏に役立てる様々なアイデア」が記された本です。
演奏家にとってはもちろんとても興味深い内容なのですが、
脳科学や、理系の本が大好きな方(←それって私ですが…)にも、とても興味深く読める本です。
章ごとのおおまかな内容は…
【第1章】 超絶技巧を可能にする脳
- 演奏中に、脳はどんなふうに働いているのか
- ピアニストの指が速く動くのは、才能というより、練習によって培われたものである
- 幼少期に始めることが理想的だが、大人になっても練習時間に比例して脳は変化していく
- イメージトレーニングは、それだけよりも、実際に楽器を使った練習と組み合わせたほうが効果があがる
【第2章 】音を動きに変換するしくみ
- 耳と指をつなぐ回路は、音楽家でない人も、早い人で数十分で作られ始める
- 音楽家の脳は、他の人が演奏している所や指の動きを観ているだけで、頭の中に音をイメージできる
【第3章】 音楽家の耳
- 微妙な音の差が聴き分けられるようになって初めて「タッチ」の違いが理解できる
- 大人になってからでも、数時間のトレーニングでピッチの違いを聴き分けられるようになる
- 他人の話し声に表れる「感情の変化」に敏感に反応することができる
- たくさんの音楽を聴くだけで耳が鍛えられるのではなく「自身の演奏する音を聴く」ことによってメロディやリズムを処理する能力が速くなる
【第4章】 楽譜を読み、記憶する脳
- 初見で弾く時、演奏家はどんなふうに楽譜を読んでいるのか
【第5章】 ピアニストの故障
【第6章】 ピアニストの省エネ術
- 効率よく、ケガや故障に気を付ける練習方法について
- ピアニストの「腕」の使い方など
【第7章】 超絶技巧を支える運動技能
- 動かしやすい指と動かしにくい指があるのはなぜか
- 「脱力」の大切さ
【第8章】 感動を生み出す演奏
- 音色、音量を操るには
- 表現のための身体の使い方、方法は一つではない
ピアノ以外の楽器を弾く人にも、
- 「どんなふうに表現すれば聴く人に伝わるのか」
- 「どんな練習法が良いのか」
など、
演奏法や練習法に迷ったときに読んでみると、参考になることがたくさんあります。
この本の内容を、もっと詳しく見る👇
著者について
古谷 晋一
音楽演奏科学者。
大阪大学基礎工学部卒業後、医学系研究科にて博士(医学)を取得。
日本学術振興会特別研究員、海外特別研究員、フンボルト財団招聘研究員を歴任。
訳書に、
『ピアニストならだれでも知っておきたい「からだ」のこと』
「ランランと音楽を科学しよう」(SONY)において講師を務めるなど、国内外で講演を行う。
主なピアノ演奏歴として、KOBE国際学生音楽コンクール入賞、Ernest Bloch音楽祭出演、兵庫県立美術館にてリサイタルなど。
ピアノを成瀬修、中野慶理の各氏に師事。
脳科学や身体運動学の手法や考え方を用いて、音楽を愛するすべての人の健やかで
造的な演奏活動を支援する「音楽演奏科学」の確立に力を注いでいる。
(Amazonの商品紹介ページを引用させていただきました)
【3冊目】「ヴィオラ母さん」ヤマザキマリ著
出版社 : 文藝春秋 (2019/1/30)
発売日 : 2019/1/30
単行本 : 239ページ
この本は、
「テルマエ・ロマエ」でお馴染み、ヤマザキマリさんのお母様リョウコさんの波乱万丈な半生が綴られた物語です。
自分が本当にやりたかった、オーケストラのヴィオラ奏者の仕事に就くために、27歳の時それまで勤めていた会社を辞め、ご両親に勘当されながらも家を飛び出し単身で北海道へ。
辛くても悲しくても、私から ”音楽をやりたい”という思いは消えなかった。
だから仕方がなかった。
周りにどう非難されようと、一度きりの人生の大きなチャンスを棒に振って、あきらめて生きていく方が辛かった。
散々悩んで考えた上の決意だったし、音楽の素晴らしさを表現するためなら、どんな責任を問われてもやるしかなかった。
(P.22 より引用させていただきました)
その後リョウコさんは、指揮者の男性と結婚されましたが、マリさんが生まれた直後、ご主人は病気であっけなく亡くなってしまいました。
しかし、リョウコさんは実家には帰らず北海道にとどまり、オーケストラでヴィオラ奏者を続けながら、マリさんとその後生まれたマヤさん、2人の子供を女手一つで育てあげました。
数々の苦難を乗り越えながらも、大好きな音楽の仕事を続け、家族を守り明るく前向きに精一杯生きていく姿に、とても力づけられます!
【第1章】リョウコが母になるまで
マリさんの母リョウコさんが、東京で勤めていた会社を辞めて、札幌のオーケストラに入団するまでの経緯、北海道での新たな生活、マリさんが生まれたばかりの頃のこと、などが書かれています。
【第2章】働く母・リョウコ
指揮者だった夫に先立たれてしまい、ひとりで2人の子供を育てながら、オーケストラの仕事を続けていたころのお話。
演奏旅行で忙しいリョウコさんを待つマリさんたち姉妹の当時の心境や、マリさんの将来の夢などのお話。
【第3章】リョウコに教えてもらったこと
マリさんが、
「好きなことに邁進する人が幸せそうだ」
「人と違っていいのだ」
「国境のない生き方がある」
など、リョウコさんの生き方から学んだたくさんのこと。
【第4章】リョウコと衣食住
北海道にチロル風の家を建てたり、「暮らしの手帖」を愛読していたリョウコさんの日々の暮らしについて。
マリさん姉妹の夏休みの宿題のお話や、
クリスマスにはいつも「本」しかプレゼントしてもらえなかったお話、
リョウコさんのオーケストラの演奏会での思いがけない感動体験など、
さまざまなエピソードが満載の本です。
あの湿原の辺り全体から漲る(みなぎる)大自然の壮大で圧倒的なパワーと美しさは、思い出すと鳥肌が立つくらい素晴らしかった。
(中略)
クラシック音楽に不案内な方々も楽しめて、短くても感情にぐっと訴えかける、映画音楽のような曲を選曲していた。
米国の作曲家L.アンダーソンの「セレナータ」もその中の一曲だったが、南国の情景が思い浮かんで来るようで、どういうわけかその場所にはピッタリだった。
まるで周りの草木や大きな空がオーケストラと一体となって曲を奏でているようで、自然と呼応する音楽の素晴らしさを目の当たりにした気持ちだった。
私は今も仕事に行き詰まると「セレナータ」を聴く。
そうすると、自動的にあの美深町の湿原の大自然の情景が目に浮かんで来るからだ。
(中略)
私は半世紀近く年を経た今も、音楽の力で元気にやっていけるのである。
(P.165より引用)
本文中にある、マリさんが小学生の頃にリョウコさんに連れられて、
北海道の美深町の広大な湿原の屋外コンサートで聴いた思い出深い曲「セレナータ」は、こちらです👇
アンダーソン作曲「セレナータ」
(YouTubeより引用させていただきました)
【第5章】リョウコと家族
リョウコさんの生い立ち、その家族、リョウコさんの初恋♡などのお話。
【第6章】リョウコという母親
母として、音楽家として、たくましい一人の人間に変わっていく「ヴィオラ母さん」としてのリョウコさんについて。
ありのままに生きていて充足している人は、等身大以上の自分になろうとしない。
自分はこうありたい、こういう人間であってほしい、という理想もなければ、それを叶えるために躍起になったり虚勢を張ったりすることもない。
なぜなら、今の、この世に生まれた、かくある自分で十分満ち足りているからだ。
(中略)
命の自由を謳歌し、波乱万丈でも「生きることって結局は楽しいんだよ」ということさえ子供に届けばそれでよし、とどこか確信していたからなのだろう。
それくらい、リョウコは毎日どんな些細なことにでも感動して生きていた。
夕暮れの雲を見ては「なんて綺麗なの、泣けてくる」と目を潤ませ、通りで狸を見つけては「かわいい、飼いたい!」と嬌声を上げ、子供と川に入って遊びたがる。
とにかくリョウコは地球に生まれてきたことが楽しくてならない人なのだ。
たとえ社会のなかでいろいろあっても、どんな困難と向き合わされても、それでも生きることを心から謳歌する大人が家にいるのは、大変頼もしいことである。
(P.227~228より引用させていただきました)
自分が選んだ道を、どんなことがあってもくじけずに前を向いてまっすぐ進み、他人の目を気にすることなく、肩の力を抜いて自然体で生きることの大切さを教えてくれる本です。
音楽の素晴らしさだけでなく、生きることの素晴らしさにも気付ける素敵な本だなと思いました。
この本の内容を、もっと詳しく見る👇
著者について
1967年東京都出身。17歳の時、絵の勉強のためフィレンツェに留学。
海外生活の中、マンガを描き始める。その後、中東、ポルトガル、シカゴへ移住。
現在は北イタリア在住。
『テルマエ・ロマエ』(エンターブレイン)でマンガ大賞2010、第14回手塚治虫文化賞短編賞を受賞。著書に『スティーブ・ジョブズ』(講談社)、『プリニウス①~⑦』(新潮社)、『オリンピア・キュクロス①』(集英社)、『男性論 ECCE HOMO』(文春新書)、『国境のない生き方』『仕事にしばられない生き方』(小学館新書)など多数。
さいごに
それぞれ違ったタイプの音楽の本を「3冊」選んでご紹介いたしましたが、
いかがでしたか?
これらの本以外にも、
興味深い「音楽本」がたくさん出ていますので、面白そうだな~と、直感で感じた本を、手に取ってみると新たな発見ができて楽しいですよ ♪
コンサートでの感動体験はもちろん、
本やその他さまざまなことを通じて、一人でも多くの方に「クラシック音楽の楽しさや素晴らしさ」を、お伝えできればうれしいです。(*'▽')
それでは、楽しい読書タイムを!
Buona lettura!
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