イタリア・オペラ【厳選アリア】疲れた心をときほぐす感動作品、あなたのお気に入りは?
「オペラ」と言えば、ドイツ、フランス、ロシアなど、さまざまな国の作曲家の名作が多数ありますよね。
個人的には「イタリア・オペラ」を真っ先に思いうかべてしまう私ですが…
みなさま、イタリア・オペラは好きですか?
本日は、イタリア・オペラの傑作の中から、感動的な名曲アリアを選りすぐってご紹介いたします。
(素敵な作品がたくさんあって記事が長すぎてしまい、3回に分けました。あしからず。)
第1回目の今回は、オペラの起源や台本についてなど「オペラの豆知識」、そしてヴェルディ「椿姫」の中から名作アリアを選りすぐってご紹介いたします。
オペラ作品の全体のあらすじは知らなくても、どこかで耳にしたことがある!という名曲をえらびました。
よろしければ、お付き合い下さいませ。
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オペラの豆知識
「アリア」のおすすめ作品を聴く前に、 少しだけ「オペラの起源」その他についてご紹介いたします。
(アリアのみ先に聴きたい場合は、上記の目次内の、それぞれの項目をクリックしていただくと、ページをジャンプできます。)
「オペラ」とは?
日本語で「オペラ」というと、「音楽と演劇が一体となった総合芸術」をさしますが…
一方、イタリア語の「Opera」とは、「作品」「仕事」といった意味がありますので、この「音楽劇」のほうのオペラは、「Opera lirica」(オペラ・リリカ)と呼ばれています。
オペラの起源は、
ルネッサンスの時代(1600年頃)に、フィレンツェに住む詩人、音楽家、学者や愛好家たちが、ギリシャ神話に音楽を付けて、新しい演劇としてよみがえらせたことが始まりと言われています。
ちなみに、あの天文学者ガリレオ・ガリレイの父親ヴィンチェンツォ・ガリレイもこのグループの中心人物の一人でした。
その後、この新しい演劇「オペラ」は、フィレンツェからローマに伝わり、そしてヴェネツィア、ナポリへとオペラの中心は移り変わっていきました。
ところで、日本の伝統芸能の「歌舞伎」も、演劇と音楽、文学などを組み合わせた「総合芸術」で「オペラ」との共通点も多いのですが、大きな違いのひとつは、役柄の「見分け方」です。
日本の伝統芸能「歌舞伎」では、あの独特の「メイク」によって、
- 善人の役は「白塗り」
- 悪人の役は「黒や赤を用いたメイク」
というように、メイクで見分けられるようになっていますよね。
一方、「オペラ」は「声の高さ」によって、だいたい役柄が決まっています。
たとえば、
- 「テノール」は、王子様や英雄などの二枚目役
- 「バリトン」は悪役、またはその他の幅広い役柄
- 「バス」は僧侶など
- 「ソプラノ」は、お姫様など主役(プリマドンナ)
- 「メゾソプラノ」は、時には主役(カルメンなど)や幅広い役柄
- 「アルト」は年配の役柄、他
を演じる、といった具合です。
のちに、モーツァルトやその他の外国の作曲家たちが、オペラはイタリア語の台本に曲を書いたことなどからもわかる通り、オペラは長い間「イタリアの芸術」というのが常識でした。
モーツァルトの時代には、
オペラはすでに音楽の中心で、当時はオペラで成功することが作曲家にとっての成功でもありました。
(モーツァルトは「魔笛」などドイツ語でも音楽劇をかきましたが、それらは「オペラ」ではなく、「ジング・シュピール」と呼ばれています)
その後イタリアでは、ロッシーニやドニゼッティ、ベッリーニなどの作曲家に続き、ヴェルディが登場。
ヴェルディが、20代の頃に書いた「Nabucco(ナブッコ)」は、「愛国心に満ちたストーリー」が当時のイタリアの人々の心をとらえて、大ヒットしました。
その後も、ヴェルディの作品は成功を重ねていました。
今日では、「リゴレット」「トロヴァトーレ」「椿姫」がヴェルディの3大人気代表作と言われています。
が、しかし、クラシック音楽のファンでなくても、知らない人がいないくらいの名作の「椿姫」は、初演のときには意外にも?!大失敗だったといわれています。
ヴェルディ以降、
プッチーニやマスカーニの作品のような、ギリシャ神話ではなく現実的な題材を扱った「ヴェリズモ(現実主義)」と呼ばれる、オペラが数多く書かれるようになりました。
現代のテレビドラマやお芝居などのように、オペラの題材や主人公も「身近なもの」や、「現実とかけ離れていないもの」が選ばれる傾向に変化していきました。
オペラの題材は、どんなものがあるの?
オペラの題材は、ギリシャ神話やシェイクスピア作品などの戯曲、その他文学作品をもとにして台本が作られています。
原作とオペラでは、あらすじがちがうことも多いです。
たとえば、
ヴェルディの「椿姫」では、原作では、主人公のアルフレードの父親は出てきませんが、オペラでは父親は、重要な役割を果たしています。
結末も少々ちがいますので、「原作」と「オペラのあらすじ」の両方知っていると、さらに興味深く楽しめます。
ヴェルディのオペラ「La Traviata」(椿姫)
「La Traviata」は、日本では「椿姫」と訳されていますが、実はイタリア語で「Traviata」とは「道を外れた」という意味です。
ヒロインのヴィオレッタは、「夜の社交界の花」(高級娼婦)という設定ですので、原語ではそういったタイトルがつけられています。
初演は1853年、ヴェネツィアのフェニーチェ劇場にて上演されました。
今では、数あるオペラの中で一番の人気を誇るこの作品も、初演の時には不評だったと言われています。( ゚Д゚)
あらすじと聴きどころ
このオペラの主人公の「ヴィオレッタ」は、原作の著者アレクサンドル・デュマ・フィスの恋人マリー・デュプレシという女性がモデル。
台本は、フランチェスコ・マリア・ピアーヴェ。
【第一幕】
舞台は19世紀のパリ。
夜の社交界の花、高級娼婦ヴィオレッタの屋敷で、華やかなパーティーが催されています。
結核を患っていた彼女は、死の予感から逃れようと、享楽の日々を送っていました。
そこへ、このパーティーの初めてのお客としてやって来た、純朴な青年アルフレード。
このパーティーの場面で歌われる曲が、有名な「乾杯の歌」と呼ばれているアリアです。
アリア「Libiamo,ne' lieti calici(乾杯の歌)」
音楽と共に、華やかなパーティーの場面もお楽しみくださいませ!
(YouTubeより引用させていただきました)
ソプラノ:Diana Damrau
ほか
歌詞は、
「さあ!酒を飲みほそう。そして束の間のこの時を快楽に委ねよう!」
といった意味です。
こちらの演奏は、パヴァロッティの圧巻のテノールが素晴らしいです ☟
こちらは、オペラの本家本元?!イタリア人の演奏、ムーティ指揮、ミラノスカラ座管弦楽団です。 ☟
ソプラノ:ティツィアーナ・ファブリチーニ
同じ曲を違ったアーチストで聴き比べてみるのも楽しいですね ♪
みなさまは、どの演奏がお好みでしょうか?
この乾杯の直後、結核を患っていたヴィオレッタは喀血してしまい別室へ。
その後をアルフレードが追っていき、二人きりになったところでヴィオレッタに恋心を抱いていることを打ち明けます。
そして、こんな生活をこれ以上続けていては身体を壊してしまうのでやめてほしいとヴィオレッタに訴えます。
ヴィオレッタは初め、この純朴な青年の一途な愛を受け流していたものの、これまで自分をこんなに気づかってくれる人などいなかったと気づき、心を打たれ次第に恋に落ちていきます。
アリア「Un dì felice eterea(ある日、しあわせにも)」
アルフレードは、1年も前からヴィオレッタに恋心をいだいていました。
それを打ち明けるシーンで歌うアリアがこちらです。☟
ええ 一年前からです。
ある日、幸せに満ち、稲光のごとく
私の前に現れたのです。
あのとき以来、私は震えながら、
未知の愛に生きてきました。
この愛はときめき、
全宇宙の鼓動、神秘的で気高い心に
苦しみと喜びをもたらしています。
アリア「Follie follie!(ああ、そはかの人か 花から花へ)」
狂気、狂気の沙汰よ!
これを狂気と言わず何といえよう
哀れな女がひとりぼっちで
パリという
人であふれた砂漠に見捨てられ
今さら何を期待するの?
何をしたらいいの?
楽しむの、快楽の渦に果てるまで
楽しむのよ!楽しむのよ!
アリア「Sempre libera(いつも自由に)」
私は、いつも自由に
歓びに浮かれ遊ぶ
私の人生は快楽の道に
流されるままでいい
その日その日を幸せに暮らせればそれでいい
私の心はいつも
新たな快楽を求めて、飛んでいく
という内容の歌詞です。
高級娼婦のヴィオレッタが、一人の若い青年を純粋に愛するなど、自分にはありえない!と自身の恋心(本心)を打ち消そうと歌うアリアです。
ソプラノ:マリア・カラス
オーケストラ:イタリア RAI
【第2幕】
ヴィオレッタは華やかな世界を捨てて、パリの郊外の屋敷でアルフレードと穏やかに暮らし始めます。
そんな幸せをかみしめながら、アルフレードが歌うアリアがこちらです。
しかし、ある日アルフレードの留守中に、アルフレード父ジェルモンがヴィオレッタのところに突然訪ねてきます。
「息子が娼婦にたぶらかされている」と誤解した父親は、ヴィオレッタにアルフレードと別れてくれるよう説得します。
この「アルフレードと別れてほしいと、ヴィオレッタを説得する場面」で歌われる、ジェルモンとヴィオレッタの二重唱がこちらです ☟
アリア「Pura siccome un angelo(天使のような清らかな娘を)」
この二重唱のアリアは、
「純朴な息子をたぶらかす悪女」対「恋人との愛を引き裂く傲慢な父親」といった感じで始まりますが、アルフレードの父ジェルモンは、次第にヴィオレッタの純粋なアルフレードへの愛に気付きます。
ヴィオレッタとジェルモンの心の移り変わりが表現されている素晴らしい曲です。
ヴィオレッタは、ジェルモンの申し出を最初は拒否するも、愛するアルフレードとその家族の幸せを願って、自身が身を引くことを受け入れ、ひとりパリへと戻っていきます。(ToT)/~~~
ヴィオレッタが去ってしまった事情がよく分からないまま、アルフレードはヴィオレッタを追ってパリに向かいます。
とある仮面舞踏会でヴィオレッタを見つけたアルフレードは、ヴィオレッタのパトロンの男爵とカードの賭けをして勝ち、そのお金を「裏切者!」と罵りながらヴィオレッタに投げつけて恥をかかせます。
ヴィオレッタはショックのあまり気を失い、アルフレードも失意のどん底に陥ります。
そして、アルフレードはひとり国外へ旅に出てしてしまいます。
(;´Д`)
第2幕の仮面舞踏会のシーンで、パーティーの余興としてジプシーの娘たちが歌うこの曲も、可愛らしくて素敵です。☟
合唱「noi siamo zingarelle(私たちはジプシーの娘)」
私たちはジプシーの娘、遠くから来ました。
みなさんの手相を、見てさしあげましょう。
星に問いかければ、
わからないことは何もありません。
未来のことも占ってあげましょう。
【第3幕】
数か月後、結核が悪化してしまったヴィオレッタは死の床に伏しています。
ヴィオレッタのことを誤解していた事を謝り、「すべての事情を知ったアルフレードが、再びヴィオレッタのところへ戻って来る」と書かれた、ジェルモンからの手紙を何度も読み返しながら、毎日アルフレードの帰りを待ち続けます。
アルフレードと一緒に過ごした幸せだった頃を思い出して歌うアリアがこちら ☟
歌詞の中に、della ”traviata” sorridi al desto(”道を誤った女”の希望に微笑みかけてください)とあり、涙を誘います。
(ノД`)・゜・。
アリア「Addio,del passato(さようなら過ぎ去った美しく楽しい夢よ)」
ヴィオレッタは、アルフレードの父親ジェルモンの手紙を読みながら、もう長くない自分の命を哀しみながら歌うアリアです。
歌詞の内容はこんな感じです。(一部を抜粋)
「あなたは約束を守ってくださった。
決闘は行われました。
男爵は負傷しましたが、回復に向かっています。
アルフレードは外国にいます。
あなたの犠牲を、彼に打ち明けました。
彼はあなたの赦しを請うためあなたのもとに戻るでしょう。
私もそちらに参ります。
お体に気をつけて。
ジョルジョ・ジェルモン」
遅すぎた!
待っていても誰もやって来ない
ああ何という変わりようでしょう
でもお医者様は希望を持てとおっしゃった。
ああ、この病気には、どんな希望もない。
さようなら過ぎ去った楽しい夢の日々よ。
etc...
早く良くなってパリでもう一度一緒に暮らそう、とアルフレードが歌うアリアが、こちらです。☟
アリア「Parigi o cara A gran Dio!(パリを離れて)」
ソプラノ:ディアナ・ダムラウ
☟こちらの演奏は、
テノール:カルロ・ベルゴンツィ
ソプラノ:モンセラート・カバリエ
ヴィオレッタは、「もし心優しい女性が現れたら、その人と結婚して私のことを話してあげてほしい」と言い残し、アルフレードの腕の中で息絶えてしまいます。
このオペラは、ヴィオレッタ役のソプラノの出来によって成功がかかっていると言われるほどで、ソプラノ歌手たちが1度は歌ってみたいと思うあこがれの役柄です。
「La Traviata」のおすすめアルバム ☟
(Apple Musicより)
ソプラノ:ジョーン・サザーランド
ほか
原作本、DVDほか
さいごに
数ある感動的なアリアの中から、人気作品を中心にご紹介いたしました。
どこかで聞いたことのある美しいメロディや、ドラマチックでワクワクする曲など、さまざまな作品の中から、その時々の気分に応じたお気に入りの名作アリアを見つけてお楽しみくださいませ。
演出家により、同じ作品でもガラッとちがった雰囲気にかわることもありますので、音楽だけでなく舞台もぜひお楽しみくださいね。
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